「ロシアンルーレット」は本当にプレイされているのか?

ロシアンルーレットは、1発の弾丸が詰められたリボルバーを使用してプレイします。まさに命を賭けた運が左右する「チャンスゲーム」なのです。シリンダー(6発装弾用のチャンバー/薬室)を回転させ、プレイヤーは銃口を頭に当てて引き金を引きます。死までの平均試行回数は、たったの3.5回にも関わらず、今でもこの致命的なゲームはプレイされているのです!多くの場合、死を望んでいる者によって行われます。その一方で「楽観主義バイアス」が要因となり実行されることもあります。

楽観主義バイアスとは?

「楽観主義バイアス」は、人々が日常的に経験する多くの認知バイアスの1つです。現実を楽観的に捉えることで、合理的な意思決定を妨げるバイアスです。人々は、無意識に都合よく物事を判断する傾向にあります。物事を単純化し、決断するのです。努力後の成功率を過大評価する場合もあります。これは幼少期に始まり、大人になっても継続されます。

多くの西洋諸国の人々は、一般的に幼少期から前向きな人生観をもつように教えられます。これは、通常良いことですが、楽観主義バイアスにつながる可能性も見逃せません。一方、東洋では、何かをする際、起こりうるすべてに対して思慮を重ねたうえで実行するのがよいと考えられています。

楽観主義バイアスが要因となり、自分自身や愛する人に起こりうる悲劇的な事故や病の可能性が軽視されることが多々あります。同バイアスは、喫煙者とギャンブラーの多くに顕著に見られます。彼らは、喫煙またはギャンブルに関するネガティブな統計的事実から目を背け、悪習を継続する傾向にあります。気候変動のような比較的ゆっくりと変化する自然現象などに直面した際、多くの人がそれまでの習慣を変えることができないのも楽観主義バイアスが理由と考えられています。

そしてロシアンルーレットをプレイしている一部の人々の背景にあるのも楽観主義バイアスなのです。彼らは主観的な楽観主義に基づき、恐ろしい事実を完全に無視または歪曲し成功をつかみとるストーリーを描いてしまうのです。

ビジネス環境においてもロシアンルーレットと同様のバイアスが見られます。米国では多くの現場で定期的な安全検査と監査が行われておらず、計225名の致命的な労働災害が記録された年があります。これは1か月あたり約19人の死亡に相当します。日本における同事例は、欧米諸国に比べ、はるかに少ないですが、それでも対処する必要のある重大な問題です。幹部や現場監督などの明らかな近視眼は、現状を過大評価し、悪いことは他人にしか起こらないと信じているということの表れなのです。ロシアンルーレットと同様に、この全くの楽観主義も統計学的現実には当然ながら太刀打ちできないのです。

職場の安全を怠ることは、悲劇や喪失につながる可能性のある危険な賭けであるのと同様に、ロシアンルーレットも気の遠くなるような非常に暴力的かつ恐ろしいリスクを伴う賭けなのです。